山梨肺癌研究会会誌 第20巻1号 041-045(2007)

I期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療の現状

大西洋、萬利乃寛、斉藤亮、荒屋正幸、青木真一、栗山健吾、小宮山貴史、荒木力

要旨
<目的>I期非小細胞肺癌に対しては手術が標準治療であるのが現状であるが、植松らにより定位照射技術を用いて手術に匹敵する成績が報告されている。今回、自施設および他施設の成績を見直し、I期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療の現状を評価および考察した。
<対象と方法>I期非小細胞肺癌に対する当施設および論文報告にある他施設の成績を分析し、手術療法との生存率・有害事象について比較検討した。
<結果と考察>自施設を含む他施設データの結果から、I期非小細胞肺癌に対して定位放射線治療は手術と遜色ない生存率と低い有害事象発生率が得られている。ただし、すべてレトロスペティブスタディで症例数・観察期間も十分でないため、今後十分な経過観察とJCOGやRTOGで施行中の前向き試験の結果成熟を待つ必要がある。現状で、手術不能症例に対しては根治治療として高い安全性をもって第一選択として推奨できる治療方法であり、また手術可能症例に対する標準治療は手術であるものの、患者の希望によっては選択しうる方法として提示されるべきであり、また将来的には手術との無作為比較試験も必要になるであろう。

キーワード: 非小細胞肺癌 I期 定位放射線治療 手術不能 手術可能



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